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魂の酒

さて「音楽と物語」の最後です。
また機会があったら作りたいです。なにせこれが私のホームページのきっかけでしたから。

この曲で何よりのお気に入りはフルートのメロディです。
私の作った旋律の中では一番かと。
それで私の娘の結婚式に作曲した曲の元になりましたから。

しかしながら、
こんな内容のものがわが娘の結婚式の題材とは・・・
他意はないのです。
ただメロディがいいので・・・・ほんとです(汗)

物語は「酒」を扱ったミステリアスな内容。
なかなか面白いのでは、と自悦です。
不協和音をいっぱい使ったのもその内容からです。


  音楽と物語



昔酒造りの名人と言われた杜氏がいました。
そのころは米も自然豊かに育ち、水もきれいで酒はとてもおいしかったそうです。
ある日、その名人は何者かに彼の酒蔵で殺されてしまったのです。お役人の調べでは、見知り者が下手人と思われる、とのことでした。
そのお葬式は杜氏仲間、近所の人によってしめやかに行われました。
お葬式が終わる頃、酒の入った湯飲み茶碗がみんなに配られました。あまりのうまさに人々は声ならぬため息をつきました。みんなが飲み終わった頃、喪主の一人娘がみんなの前に立ち、ゆっくりと話し始めました。
「このお酒は父の最後の作り酒です。
父は常々こう申しておりました。
酒はうまいだけではだめだ。魂がこもっていなければならない。人が楽しいときにはそれを祝福し、悲しいときにはいたわるのだ、と。
そして魂のこもった酒は....」
と言い始めたとき、それをさえぎるかのように、
「すまねぇ!お前の父っつぁんを殺ったのはオレだ!...」
なんとこの娘のいいなずけでもある若手の杜氏でした。
「おめぇと一緒になるのを反対されて...すまねぇ!」
と言って泣き崩れました。
するとなんとあちこちで、「....したのはワシだ!」とか、
「...したのはオレだ!」とか、叫び始めたのです。
娘はこきざみに震えながらもしっかりと立ち、続きをしゃべり始めました。
「そして...魂のこもった酒は...人々を正直にさせるのだと...父は申しておりました。」
そう言った後娘はその場に泣きくずれました。

この酒の作り方は後世に伝わることはありませんでした。
どんなにおいしかったのか、今ここにあれば飲んでみたいものですね。
え? 僕ですか? あのー、今ちょっと体調が悪いので遠慮しておきます。


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