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悲劇の謎(妻)

引き続き、モーツァルトです。
私が一番悲しく思う記事ですね。
これも前回の「悲劇の謎(母)」が遠因でしょう。

アロイジアに失恋

モーツァルトが母と旅をしたときにドイツ、マンハイムに寄ります。そして父の紹介で写譜家フリードリーン・ヴェーバーと会うことになります。
そのときに知り合ったアロイジアは彼の子の4人姉妹の次女でした。(将来妻になったのは3女コンスタンツェ)
アロイジアは歌がうまく、後に一流の歌手になりました。
このときはまだ彼女は18歳。美貌でもあり、モーツァルトはこのときにすでに片思いをするようになります。
またモーツァルトは彼女のために曲も作り、アロジアはだんだん実力を出して歌手としての道を歩むことになり、まことにいいコンビでした。
ところが母にあたるマリーア・ツェシィーリアはまだ青二才のモーツァルトとの結婚は許さなかったようです。
突然アロイジアは金持ちの所に嫁ぎます。(ここら辺は海老沢氏以外の書物で記憶がうすいですが)
こうしてモーツァルトは失恋します。モーツァルトは一日中泣いてすごした、と父宛の手紙に記されています。
しかしアロイジアとの音楽関係だけはモーツァルトが結婚した後も続いたようです。
実はここら辺も母マリーア・ツェシィーリアの打算性がみられます。
ザルツブルグとの決別
パリで母も失い、失恋し、また就職活動も失敗して23歳の時故郷ザルツブルグに戻ります。
そしてなんとか父の紹介で宮廷オルガニストという職につきます。
でも度重なる旅の失敗もあってモーツァルトはいよいよ父との対立が増したようです。
年収は今の価値で言うなら200万円くらいはもらえたと思いますが、父との対立、宮廷や大司教らの冷たい仕打ちにあい、ふとしたことで大司教とケンカをする事態に陥ります。
この冷たい仕打ちはいろいろ要因がありましたが、そもそもはではないかと思います。
だいたい我が子はこんな田舎のザルツブルグで音楽をするような子ではない、と旅をさせていたからだと思うのです。確かにレーオポルトは副学長ですが、日頃からそんな偏見の目でザルツブルグを見ていたから周りも当然冷たくなりますよね。
大げんかの末モーツァルトはザルツブルグと決別します。
そして裸一貫、ウィーンで宮廷にも仕えず、自由な音楽家となります。
当時教会や宮廷に仕えてこそ音楽家でした。当然父はびっくり大仰天でした。執拗な父の反対を押しのけてモーツァルトは独立職業音楽家の第一号となりました。
自由な精神を求めて!
コンスタンツェとの結婚
アロイジアとの結婚はできなかったけれど、マンハイムからウィーンへ移住してきたこの一家とはつき合いが続きました。しかし、父は手紙で何度もあの一家とは「つき合うな!」と忠告をしつづけます。これに関しては父の意見に従った方が良かったのに、と私は思います。
あの母マリーア・ツェシィリーアは決して器量のよくない売れ残りそうなコンスタンツェを巧みにモーツァルトに近づけます。
モーツァルトはその術策に見事にはまり、次第にコンスタンツェを本当に愛するようになります。
父にもコンスタンツェとの結婚を許してほしいと手紙を書きますが、父も姉も猛反対でした。
マリーア・ツェシィーリアは人の良いモーツァルトに結婚契約書に署名を要求しています。
それは、「3年以内に結婚すること。もし結婚が不可能になったときは違約金として年200万円支払うこと。」というひどいものでした。
結婚の意志の固いモーツァルトは何の抵抗もなく署名します。
そして26歳、モーツァルトは父、姉の猛反対(これによってモーツァルト家と縁を切るというような)にもかかわらず結婚します。
悪妻コンスタンツェ
結婚以前、父にコンスタンツェのことを「けっして美しくはないが気だてが良く、一番器用です。」と手紙に書いてはいます。
海老沢氏の文をそのまま示します。
「コンスタンツェはモーツァルトが見通したように、気だてが良く、善良ではあった。けれどもこうした性格はモーツァルトの芸術家としての生活にも、人間としての生活にも、直接にはなんの助けともならなかった。ただ、モーツァルトは、世間の常識というか、われわれの家庭生活の把握の仕方、理解の仕方からすると、家政の能力に乏しく、計画的な家庭生活をいとなんでいく力をもたなかった、いわば悪妻のコンスタンツェをただひたすら愛しぬいた。」と。
ここで私は許されないかも知れませんがモーツァルトの母を思い出すのです。
やはりコンスタンツェは母に似ていたのでは、と。
母の愛に薄かったモーツァルトの自然な結果かと。
この結婚により、モーツァルトをあと10年という寿命にしたのかも知れません。
もう30年も前のことでしょう。
当時私が手に入れた最初のパソコンがソニーのMSX。
それを使ってアレンジしたのがこの曲です。
さらにそれを15年ほど前RolandoのSC-8820でアレンジしたのが上のMp3です。

曲はピアノ協奏曲24番の二楽章から。

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はげちゃん

ごぶさたでした。
園芸の方はうまくいっているようですね。
暑いから、植物たちもたいへんですよね。

ひさしぶりの音楽の記事。
さすがHOLDONさん、生き生きとしていますね。

大好きな、モーツァルトは、たしかに私的生活には恵まれなかったようですね。
音楽では、天の領域に近づいたと思われる天才も、私生活では、超鈍才だったのかもですね。

でも、そんな環境が、あの数々の名曲を生み出したもとかもしれませんね。
そんな気がします。

そして、さすがHOLDONさんの編曲はすてきですねえ。
感心しきりです。

ところで、風泉さんに紹介していただいたフリーソフトで、歌をうたわせることができました。
まだ単音だし、ものすごい手間がかかるので、じっさいには、合唱にできるか、伴奏がつけられるか???ですけど、でも楽しいです。

歌は、ずっと昔につくった、女声合唱組曲6曲のうちの1曲の、それも、ほんの一部だし、たどたどしい歌ですけど、でもすごくうれしいです。

お時間があったら、ひやかしてやってください。

http://ninjahagechan.chikouyore.com/UTAUhananideattara.html
by はげちゃん (2013-07-11 10:32) 

辻基夫

ご無沙汰しています。

猛暑35度の連続ですが「渇いた愛でも」の大復活を見る限りお元気そうで何よりです。
それにしてもモーツアルトは手紙を書き過ぎましたね(笑) しかも受け取った人がちゃんと保存しておくから運が悪い。モーツアルトが今生きていたら、携帯メールばかりで後世に何も残らないでしょう。続編を楽しみにしています。

ところで以前かなり念入りに書かれていたフルート分解記(?)、その後どうなったかと探したら、別のブログになってたんですね。とりあえず作業中断して部品待ちということでしたか。

by 辻基夫 (2013-07-11 12:30) 

HOLDON

>はげちゃん、
おはようございます。
園芸は楽しいけど難しいですね。失敗ばかりですよ。
苦し紛れの音楽記事(笑)
あと二つで完了します。
以前掲載したもので恐縮ですが。

そのほかでは次のバンド演奏会の準備がまた忙しいので暑い中がんばっています。

以前お伺いしたとき、なにやらよくわからないけど面白そうなことが書いてあるなぁと思っていました。
これですか?
いよいよフリーで作れるようになったんですね。

「花に出会ったら」
聞いてみました。
いい曲ですね。
フリーでここまでやれるとは思ってもみませんでしたが、曲によりますねぇ。
この曲の感じには合わないように感じました。
また混声にしたり伴奏を付けたりするのはもっと難しいかも知れませんね。
でも何でも第一歩。
フリーで見事なコーラスが出来るのも間近でしょうね。
長生きしたいですね(笑)
by HOLDON (2013-07-12 06:29) 

HOLDON

>辻基夫 さん、
暑いいですねぇ。熱中症の記事が目立ちます。
用心しなければならない年齢ですからね(笑)

大復活
いやぁ、書く記事が無いもので・・・
モーツァルトはウソが書けない正直者でしたねぇ。
つまらん手紙も大事に保管されたのですからね。
相手は自分の都合の悪いものは破棄します。

別のブログ
そうなんです。
バンド活動を好きなように書けなくなってきましたので分けました。
ついでにフルートの専門も移しました。
良かったかどうか、ですね。

でもメインのブログを何とか昔のように音楽話とDTMにしたい気持ちで。

とにかくがんばってみます。
こちらこそご無沙汰ばかりでした。
近いうちにお伺いしますね♪
by HOLDON (2013-07-12 06:42) 

はげちゃん

HOLDONさ~ん、やりましたよ。
(T-T) ウルウル うれしい。

まだ、ほんの一部ですけど、女性3部合唱、ピアノ伴奏つきでやりました。
ものすごく手間がかかりますけど、でも、すごく楽しいです。

お時間のあるときに、はげちゃんの掲示板で、聴いてやってください。

まだ、音量調節がうまくできないので、メロディや、ピアノがよく聴こえなかったりしますけど、これからの研究課題です。
とりあえず、第一段階せいこうしました。

おもしろいですよ。
やってみませんか。
by はげちゃん (2013-07-14 16:28) 

HOLDON

>はげちゃん、
すごく楽しそうですねぇ。
うらやましい~
そこまで来たら本物ですよ。
あとは時間と根気。
私は当分はほかのことは出来そうも無いです(泣)
HOLDONバンドが解散になったとき。。。かな。

でも聞くのは簡単なのでお伺いしますね♪


by HOLDON (2013-07-15 06:18) 

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